Wed. Jul 30th, 2025

エルセグンドに本拠を置く新興企業シンケイシステムズは、人工知能とロボティクスを使って、寿司やその他の魚料理の味を向上させ、鮮度を保ちながら魚の処理をより人道的に行う新たな方法を模索している。

同社のAI駆動型ロボット「ポセイドン」は、安らかに魚を処理するために、日本の伝統的な手法であるイケジメを活用して設計されている。この技術は味、食感、保存期間を向上させる手法として、多くの愛好者から支持されている。

日本の高級レストランではこの方法が使われているが、アメリカでは高コストのため普及していない。しかし、プロセスの自動化により、アメリカでも手頃な価格でこの技術が提供できるようになると、シンケイシステムズのCEO、サイフ・カワジャは述べている。

「私の最終的な目標は、あなたが地元のスーパーで、3倍長持ちし、より美味しく、人道的に処理された魚を手に入れられることです」と彼は語った。

先月、シンケイシステムズは2200万ドルを調達し、全体の資金調達額は3000万ドルに達した。現在、同社は太平洋と大西洋で4台のポセイドンを稼働させており、今後1年以内にさらに10台を追加予定である。

イケジメは、捕まえたばかりの生きた魚を素早く針で脳を貫通させ、エラを切ることでストレスホルモンや乳酸の蓄積を防ぐ技術である。これにより、味や食感に悪影響を及ぼすことを防げるとされている。

カワジャは、従来の技術では「魚を傷つけずに高速度で処理するのは難しい」と説明した。特にアメリカでは、多くの漁師が手間のかかる方法を採用するのは運用上非効率である。

シンケイシステムズは、単に美味しい魚を提供するだけでなく、もっと優しい方法で魚を処理することにも意義があると強調している。カワジャは、子供の頃に父と共に海での釣りを楽しんだ際、魚が酸素不足で苦しむ様子を見るのがとても辛かったことを思い出すと語った。

ペンシルベニア大学の大学院在学中、カワジャは魚が痛みを訴えるために声を上げられないために非人道的な死を迎えているという主張に感銘を受けたことがある。また、魚の痛みを音声化するセンサーの開発も一度検討したという。

シンケイシステムズは、ポセイドンを漁師に提供し、処理された魚をプレミアム価格で買い取っている。その後、加工された魚はシンケイのフィッシュブランド「セレモニ」でレストランや小売店に販売される。

ポセイドンは冷蔵庫くらいのサイズで、漁船のデッキに設置される。魚は開口部から小さなビニール製の空間に送られ、AIが魚の種類や脳とエラの位置を特定する。

魚は頭に穴とエラ近くに切り込みを入れられ、血抜きのために氷水に入れられる。カワジャによれば、素早く魚を処理し、血を抜いて冷却することで、味と食感に著しい違いが生まれるという。

「味のプロファイルが異なり、食感のプロファイルも異なるでしょう」と彼は述べた。

シンケイシステムズがロサンゼルスを本社とした理由は、求められる人材や多くの高級レストラン、重要な漁業などが揃っているからである。彼は「世界で最高の機械工学の才能がカリフォルニア南部にあると思います」と話す。

ロサンゼルスは消費財と健康商品の重要な拠点であり、最新の食文化のトレンドセッターでもある。

ミシュラン星を持つロサンゼルスのレストラン「プロビデンス」の共同オーナー、マイケル・チマルスティは、イケジメ処理された魚を地元で購入するように努めており、その質と色が保存されるからだと述べている。イケジメによる保存処理を施された魚は、まるで水から引き上げたばかりのように見えるとのことだ。

現在、シンケイシステムズは、ワシントン、中央カリフォルニア、マサチューセッツで毎週何千ポンドも処理しており、今年中にアラスカとメキシコ湾への拡張を計画している。

漁師からのフィードバックに応じて、デッキスペースを節約するために「ブロック2」ロボットの開発も進めており、同機は現在の半分のサイズで、処理速度は2倍になる予定である。

現在は、ポセイドンで処理された黒コッドや黒海スズキが、セレモニーブランドの下でハピアグroceryなどの小売業者に販売され、アトミックスや寿司ゾーなどの高級レストランで提供されている。今夏にはサーモンとマダイも商品ラインに追加する計画だ。

画像の出所:latimes