最近のSNSでのマッチャブームが、2025年に予想される抹茶不足へとつながっている。
抹茶は、見た目の美しさと、抗酸化物質が豊富であるという特性から、多くの人々の関心を集めている。
特に、パンデミックの影響で免疫力向上やストレス軽減に効果があるとの報告もあり、需要が急増している。
業界アナリストは、2030年までに市場規模が65億ドルに達すると予測している。
しかし、日本の労働力不足や、最近のheatwave(熱波)により、抹茶の原料十茶(といい〜)の収穫量が減少し、茶農家からの供給が追い付かない状況になっている。
このため、抹茶を販売する企業は在庫を積み増そうとしているが、国際茶協会によれば、卸売価格は今年265%も上昇しているという。
そんな中、『Kettl』という新しい日本茶カフェがロスフェリズにオープンした。
この静かな二階建ての空間に足を踏み入れると、抹茶不足など感じさせない落ち着いた雰囲気が広がっている。
ここでは、心地よいマッチャコルタドを注文すると、美しい陶器のカップで提供され、泡アートが施されている。
ラテ用の抹茶は、ナッティでチョコレート風味、クリーミーでフローラル、うま味のある3種類から選べる。
泡立てた抹茶も似たようなフレーバーバリエーションがあり、氷にスパークリングウォーターを注いだ冷たいマッチャも楽しめる。
また、知識豊富なスタッフと一緒に、抹茶のさまざまなニュアンスを体験できるテイスティングもあり、現在注目を集めている抹茶以上の日本のお茶の世界を知るチャンスがある。
私がKettlの常連になった理由はここにある。
創業者のザック・マンガンは、2000年代にジャズドラマーとして活動していたが、パリでのツアー中に初めてシンチャ(新茶)を見つけた。
彼は、光沢のある針のような葉の香りに強く惹かれたと語っている。
その後、ニューヨークの茶舗で働き始め、日本へ初めて訪れたことで、緑茶のフレッシュさが持つ力を実感した。
茶生産者との関係を築き、輸入業を始めたのだ。
最初の顧客は著名なシェフ、デイビット・ブーレイで、他の料理人たちも続いた。
ザックおよび妻のミナミ・マンガンは、2021年にグリーンポイントのブロンクスに最初のKettlを開店し、ロサンゼルス店舗は数年の遅れを経て、2月から客にお茶を提供し始めた。
L.A.の公の場での本格的なお茶文化はまだニッチな存在であり、座ってお茶を飲む体験を提供する場所は限られている。
そうした中、Kettlの静かで明るい室内は特別感を与えてくれる。
チケット制のクラスも行われており、例えば夏場にアイス抹茶を作るための基本を学べる。
しかし、私が最も引かれるのは、注文カウンターの右側にある四席のテイスティングバーだ。
特に週末は予約をするのが賢明だが、平日の午後には運よく入れることもある。
スタッフが持ってきてくれるメニューブックには、15ドルからの高品質の抹茶や、複数の抽出が楽しめるお茶ポット(10ドルから)、おまかせ茶コースが70ドルから始まる。
自宅では自分で抹茶を泡立てるのが好きだが、店舗での飲み方にも興味がある。
マンガン氏は、煎茶のスタイルの多様性について、フランスの赤ワインやスコットランドのウィスキーにたとえている。
先月、彼がロサンゼルスを訪れた際、アズキチェサテイから訂正のハチジュウハチヤ(やめ)を茶バーで淹れてくれた。
このお茶は、エダマメのさやを食べるような味わいだった。
福岡県のハツツミという深山で栽培されたお茶は、ロサンゼルスの3月の雨の後の、急速に花が咲く様子を思わせる匂いを持っていた。
テクスチャはほとんどバターのようだった。
Kettlは毎週日本からお茶を仕入れているので、常に新しい味が楽しめる。
今週は、特定の労力を要するシェード加工を受けた高級な玉露(ぎょくろ)を飲んだが、特有の甘い潮の香りを感じることができた。
「このテイスティングノートはとても熱心だったので、ザックが書いたに違いない」と、スティーブ・ルイーズは笑った。
かにの味を思わせる味わいも楽しめた。
お茶の世界には、まだまだ戻ってみたくなるほどの魅力が詰まっている。
Kettlは、茶文化の進化を促進する存在として、しっかりとした足取りとともに人々を惹きつけている。
Kettl: 4677 Hollywood Blvd., Los Angeles, (323) 407-6155, kettl.co
画像の出所:latimes