トランプ大統領と習近平主席の電話会談が貿易戦争に与える影響
画像の出所:https://theconversation.com/trump-xi-call-boosts-chinese-presidents-tough-man-image-and-may-have-handed-him-the-upper-hand-in-future-talks-258437 2025年の米中貿易戦争が激化して以来、トランプ大統領と習近平主席の間で初めての直接的な電話会談が開催されたのは、6月5日のことだった。 この電話会談は、トランプが第2期の大統領在任中に行われたものであり、貿易における緊張が急激に高まった状況の中で実現したものだ。 会談後、トランプは迅速にこれを成功と位置づけ、SNSに「双方にとって非常にポジティブな結論に至った」と投稿した。 報道陣には、習近平が米国への希土類鉱物と磁石の輸出再開に同意したと語り、自動車産業の懸念を和らげたと述べた。 この電話会談の結果として、トランプとファーストレディのメラニアに中国訪問の招待があり、トランプも招待を返した。 しかし、一部の貿易緊張の緩和や表面的な礼儀以上に、このコールは二国間対立における不均衡な力関係を示唆している。 米中関係の専門家として、これらの微妙なシグナルは、習近平が米中交渉において優位に立っており、またトランプを引き立てる道具として利用し、自身の強いリーダー像を国内外で強化していることを示していると考えている。 希土類鉱物のカード トランプと習の電話会談は、米中関係の脆弱な状態を忘れさせるものではなく、北京が「希土類材料カード」を使用する意欲を示している。 北京は、米国が中国に対して課した関税の後に、著名な米国企業への希土類の出荷を停止した。 中国と米国の代表団は、5月12日にジュネーブで90日間の関税休戦に達したが、二国間の交渉は継続中である。 多くの観察者が指摘するように、通貨操作、輸出補助金、その他の非関税障壁に関する深く根ざした構造的な違いは、米中貿易交渉の見通しに対して長い影を落としている。 ジュネーブ合意の条件の下で、中国は希土類の輸出禁止を一時的に停止するか解除することに同意したが、米国は中国がその約束を守っていないと非難している。 それに対して、北京は米国がジュネーブ合意を最初に破ったと非難し、ワシントンが交渉後に中国に対して差別的な措置を打ち出したことを責めている。 具体的には、人工知能チップの新たな輸出管理、電子設計自動化ソフトウェアの中国企業への販売禁止、中国人留学生へのビザの取り消し計画などが、新たな措置として挙げられる。 トランプが中国企業Huaweiに対してAIチップを使用禁止にする命令を出したのは、ジュネーブ合意の翌日であり、多くの北京の人々はこれが合意の精神に正面から反対していると見なした。 実際、このことが中国が希土類の輸出再開を遅らせる要因となった可能性がある。 トランプの関心が希土類の問題に置かれていることは、米国がこの分野で中国にどれほど依存しているかを北京に示すものであり、習には見逃されていないだろう。 習は「呼ばれない」 6月5日の電話会談の前日、トランプはSNSで「私は中国の習近平主席が好きだ。いつも好きだったし、これからも好きだが、彼は非常に厳しく、取引をするのが極めて難しい!」と書き込んだ。 中国のリーダーとの会話は、習の厳しいイメージを強化するものであり、自国の視聴者だけでなく、国際的な観察者にも反映されている。 これは中国が電話を説明する際にも促されるものであり、中国の公式声明によれば、習は「米国のトランプ大統領からの電話を取った」と記されている。 この表現は、トランプが電話をかけたことをほのめかすものであり、習が優位に立っているという印象を強める。 また、中国の声明には、ジュネーブでの会談は「米国側の提案であった」と強調されており、中国がトランプの貿易圧力に屈服したのではなく、トランプが最初に譲歩したという印象を与えている。 この中国の発信は、貿易戦争が4月に激化した際、ワシントンが中国製品に対して関税を課すことで「エスカレーションの優位性」を得られると考えていたことに対する重要なメッセージとなる。 米国は中国が交渉に応じるだろうと過小評価していた。 電話会談の前に、トランプは習が自身に電話をかけることを望んでいると何度も述べており、習は決してそのイニシアチブを取らなかった。 トランプがタイム誌に語ったところによると、4月22日に習が自身に電話をかけたと述べたが、この発言は北京からすぐに否定された。 貿易の対立が続く中、習はトランプとの接触を自発的に始めることを避け、結果としてトランプが先に電話をかけたこととなった。…