ハスブロがパウケットからボストンに本社を移転することを発表し、都市の魅力が大手企業をどのように引き寄せるのかを示した。これは、COVID-19パンデミックによって大都市の魅力が疑問視されている中での動きである。
この移転は、ハスブロが消費者ブランドが集まるボストンに新たな拠点を設け、若手人材を惹きつけるための一環として行われる。
ハスブロの移転の背景には、2018年に波紋を呼んだ経済開発の試みがある。マサチューセッツ州知事チャーリー・ベイカーの元経済開発事務長、ジェイ・アッシュがハスブロの移転を模索した際、同社からの反応は乏しかった。
その後、ベイカー政権はハスブロに接触を続けたが、思うような成果は得られなかった。多くの都市からの誘致があった中でも、ハスブロのCEOだったブライアン・ゴルドナーは、ロードアイランド州プロビデンスを支持していたため、マサチューセッツに対する期待は薄いものだった。
2020年にはパンデミックが発生し、さらにその翌年にはゴルドナーが亡くなり、経営には新たな課題が山積みとなった。2022年にはクリス・コックスがCEOに就任し、ハスブロの映画及びテレビ部門の売却を行った。
2024年4月、マウラ・ヒーリー州知事の経済開発事務長、イボンヌ・ハオがビジネスリーダーとの夕食会でコックスと出会い、ハスブロがボストンに移転する可能性についての会話が始まった。
彼女は、ボストンにはコンバース、ウェイフェア、ニューバランス、レゴといった消費者ブランドがひしめいていることを強調し、ビジネスの拠点としての力をアピールした。
コックスはこの提案に興味を持ち、ハスブロのマサチューセッツでの歴史を振り返り、ボストンを新しい創造の中心とする可能性について考え始めた。彼の反応は迅速で、ハオとのやり取りが進められることになった。
州の経済開発プログラムによる税制優遇について話し合うために、ハスブロの法律部長タラント・シブリーとの会議が実施された。これにより、ハスブロはエコノミック・デベロップメント・インセンティブ・プログラムの恩恵を受けることになるかもしれない。
その後、ボストンにおけるハスブロの移転先としての候補地が取り沙汰され始めた。特に、アクセスの良いダウンタウン・クロッシングにあるバーンハムビルや、駐車スペースのある南ラインの元ボストン・グローブビルの名前が上がったが最終的には、セポート地区にある400サマー・ストリートに決まった。
このビルは、その他のオフィスビルと競争ができない程の良い条件を提供しており、ハスブロにとっても魅力的な選択肢となった。
2025年春には、ハスブロがそのビルに対して意向書に署名したとの状況が伝わってきた。
最終的には、ボストンの行政にとってもハスブロの移転は大きな成功となる。情報によれば、ハスブロは265,000平方フィートのオフィススペースを、2026年末までにボストンで確保する予定である。
ハスブロのプレスリリースでも、ボストンが持つ他の都市とのアクセスの良さが強調されており、新たな本社がワシントン州レントンのウィザーズオブザコーストのオフィスと同じく、新たな拠点となることが期待されている。
パウケットにとっては、これが大きな痛手となるが、都市全体の魅力を高める結果につながることが予想される。
ハスブロがボストンに進出することは、消費者セクターが持つポテンシャルの再認識、さらにイノベーションの進展を象徴するものであり、新たな産業の融合が期待される。
アッシュ氏は、ボストンの活気がいかに企業を引きつけるかを証明する事例と見ており、市の強さと活力が依然としてマジョリティの支持を集めると述べている。
最後に、都市の中心に大手企業が集まる環境が整いつつあることで、新たな人材の流入が促進されることが期待される。
画像の出所:bostonglobe