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日本エンジン株式会社(J-ENG)は、2025年8月30日に、商業用エンジン「7UEC50LSJA-HPSCR」を初めてフルスケールで完成させ、試運転を成功裏に終えました。

このエンジンは、エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)による「次世代船舶開発」プロジェクトの一環として開発されたもので、50cmのボアを持つ7気筒エンジンです。

試運転は2025年8月27日から30日まで、Nippon Yusen Kaisya(NYK Line)や、Nihon Shipyard Co., Ltd.(NSY)、Japan Marine United Corporation(JMU)、Nippon Kaiji Kyokai(ClassNK)などの監督の下、J-ENGの工場で行われました。

アンモニア燃料と重油のデュアル燃料エンジンとしての性能検証テストが成功裏に完了し、ClassNKによって優れた環境性能と安全性が認証されました。

このエンジンは2025年10月に出荷され、JMU有明造船所で建造中のアンモニア燃料中型ガス運搬船(AFMGC)に搭載される予定です。この船は2026年に運航を開始する計画です。

J-ENGは、2023年5月から2024年9月にかけて、三菱重工業の研究開発センターでシングルシリンダーのアンモニア燃料試験エンジンの約1,000時間の試運転を行い、その結果を基にフルスケール商業エンジン「7UEC50LSJA-HPSCR」を製造しました。

2025年4月からは、アンモニア燃料による試運転が開始されました。

その後の5ヶ月間、合計700時間の詳細な試験が行われ、様々な性能最適化と高い信頼性および安全機能の確認が進められました。

特に、毒性のあるアンモニアの漏洩防止と監視システムに重点が置かれ、安全運航に必要な機能を十分に備えたエンジンが完成しました。

J-ENGは、長期的な開発プログラムの成果として、安全で信頼性の高いエンジンを世界に先駆けて顧客に提供できることを誇りに思っています。

試運転データによると、100%の負荷および95%のアンモニア共同燃焼率で、亜酸化窒素(N₂O)排出量は約3ppmとなり、温室効果ガス(GHG)排出量を90%以上削減しています。

窒素酸化物(NOx)排出量は重油エンジンの約半分であり、燃焼しなかったアンモニアの排出量は実質的にゼロ(NOx SCR後)であることも確認されています。

また、アンモニア燃料運転モードでの熱効率は重油運転モードと同等かそれ以上であることも確認されています。

J-ENGは、50cmボアのエンジンに続いて、60cmボアのアンモニア燃料エンジンの開発も同時に進めており、将来市場に登場するさまざまなアンモニア燃料船に対応しています。

このエンジンの開発と社会実装を実現した後、J-ENGは、環境省と国土交通省が共同で運営する助成プロジェクトの支援を受けて、新工場の建設を進めています。

新工場は2028年度から稼働する予定で、アンモニア燃料エンジンの生産量の拡大を目指しています。

次世代燃料エンジンの先駆者として、J-ENGは、日本のShippingおよび造船産業の発展に貢献し、GHG排出量の削減や2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指します。

画像の出所:marineinsight