日本の垂直農業は新たな時代に突入しました。
日本植物工場協会(JPFA)の第2回シンポジウムが東京で開催され、業界の優先事項が単なる収量最大化から健康、持続可能性、そして世界的な食糧安全保障を統合した戦略にシフトする重要な瞬間を迎えました。
千葉大学近くの柏の葉カンファレンスセンターで開催されたこのシンポジウムには、学界、産業界、国際的な代表団が集まり、日本および世界の植物工場の現状と今後の方向性を振り返りました。
千葉大学の横手公太郎学長は、JPFAが進める植物工場に関する研究を称賛しました。
日本の垂直農業の現状として、90%がレタスを生産し、残る10%はハーブ、イチゴ、花、ミズナやコマツナなどの葉物野菜に集中しています。
レタスの生産内訳を見ると、一般的なレタスが45%を占め、続いてフルヘッドが25%、ベビーリーフ15%、グリーンリーフ15%となっています。
しかし、日本が垂直農業の発祥地であるにもかかわらず、このセクターは高エネルギーコストという持続的な課題に直面しています。
生産コストの26%を占めるエネルギーコストに加え、労働コストが33%を占め、減価償却が13%、種子、物流、水はごく少数の割合となっています。
そんな中、注目は変わりつつあります。
「私たちは植物を育てることだけに注目すべきではありません。理想的には、研究は人間の健康や環境への影響にも焦点を当てる必要があります。」とJPFAの会長である林恵理氏は語りました。
「そのため、私たちはこれを学際的な研究分野と見なしています。」
この学際的なアプローチは、全体を通じて明らかでした。
製薬、メンタルヘルス、さらには宇宙農業に関する発表も行われ、火星ミッションに向けた米や大豆の栽培試験や、UCサンディエゴとの共同で開発された経口ワクチンが紹介されました。
シンポジウムの二日目は、オイシイ(Oishii)のCEOである古賀博樹氏による大胆なビジョンから始まりました。
同社はかつて1ボックス50ドルで販売していたイチゴを現在は7.99ドルにまで値下げし、日本国内でも500円(約2.80ユーロ)を目指しています。
「私たちの新しいメガファームは完全に自動化されており、ソフトウェアと機械学習によってコストを大幅に削減できています。」と古賀氏は述べました。
この施設は水力と太陽エネルギーを利用し、消費電力を上回る電力を生産し、エネルギー効率と経済的実現可能性の新たな基準を打ち立てています。
レタスだけでなく、次なる境界についても議論が交わされました。
QAAFIのポール・ゴーチエ氏は、マンゴー、ワサビ、パイナップル、パパイヤなどの作物が、技術の進化によって実現可能になると強調しました。
ただし、これらの作物は成長サイズや成長サイクルにおける技術的課題が伴い、市場価格や収量が大きく異なります。
ダイナミック植物モデルは、これらの障壁を克服するための重要なツールとして浮上しました。
発表者は、遺伝子、害虫管理、栄養比率、照明、気流を統合するシステムを示し、予測された収量や生産スケジュールを微調整できることを説明しました。
「植物がどのように反応するかを正確に知ることで、収量を予測し、作物スケジュールを調整し、エネルギー効率を最適化できます。」と専門家は述べました。
マクニカなどの日本の企業は、先進的な農場ソフトウェアプラットフォームを紹介し、労働管理、収穫、供給をより効果的に行う手助けをしています。
また、AI駆動のプラットフォームは、肥料の使用、温室効果ガスの排出、環境制御を単一の意思決定ツールに統合しています。
シンポジウムは国際協力の重要性も強調し、特に2025年の大阪万博を念頭に置いたオランダの園芸団体の代表団が参席しました。
会話は包括的な食糧アクセス、規制枠組み、そして制御された環境農業が都市および地球規模の課題にどのように対処できるかにまで広がりました。
林恵理氏の締めの言葉は、勢いが止まらないことを示しました。
第3回JPFA国際シンポジウムは、2026年8月31日から9月1日に千葉で開催される予定です。
レタス中心だったニッチな市場から、現在では技術、健康、持続可能性、さらには宇宙探査にわたる多分野のエコシステムに進化しました。
日本の垂直農業が成熟していく中で、会話は単に生産量を増やすことから、より賢く、よりクリーンに、そしてより意義ある方法で永続可能に成長することへと移ってきています。
人々、地球、そしてもしかしたら火星に向けて。
画像の出所:hortidaily