イマゴ・シアターによるノエル・カワードの1933年の戯曲『生きるためのデザイン』の復活上演は、笑いと人間の複雑さが交錯する新たな解釈を提示しています。特に目を引くのは、演出を手掛けたジェリー・ムアワッドによる深い考察です。
この劇は一見すると、戯れに富んだ軽快なストーリーを展開しますが、そこには厳しい現実も潜んでいます。主人公のギルダ(ケイトリン・ローズ)、オットー(ジョー・カレン)、レオ(K.J.スナイダー)の三人の間で繰り広げられるロマンティックな絡み合いが描かれています。
第1幕では、ギルダがオットーとパリの古びたアパートに住んでいるところに、レオが登場し、彼女とオットーの関係に波風を立てます。
第2幕では、ギルダとレオがロンドンのシックなフラットで一緒に過ごしている時に、再びオットーが介入して、愛の関係が複雑に絡み合います。
第3幕では、ギルダはアーネスト(ショーン・D・ルハン)という品のある美術商と共にニューヨークに住んでいますが、そこにまたオットーとレオが登場し、状況が一層ややこしくなります。
この3人が物語を通じて成功を収めていく様子は、自身の進化を表すべく、ムアワッド、ノーション、そしてジム・ピーリンボームによる進化した舞台セットで表現されています。パリのアパートの落ち着いた色調から、ロンドンのフラットの豊かな秋色の家具に目を見張る場面転換が特徴です。
特に、タマラ・ド・レンピッカによる絵画「緑の若い女性、手袋を持つ若い女性」のレプリカは、セクシュアリティと社会的抑圧のテーマを浮き彫りにします。カワード自身が同性愛者であったことを考えると、彼のキャラクターたちが笑いながらも感じる苦悩を強調することが重要です。
戯曲の中でも、不満や悲しみが描かれており、アーネストはギルダに「痛々しいねじれと曲がり」を指摘し、ギルダは「人類は期待外れだ」と答えます。
後に、レオが社会的保守主義者であるアーネストに向かって激しく反論する場面も印象的です。ムアワッドは、このセリフを軽いタッチで届けるのではなく、言葉の背後にある不満や bitternessを露わにしました。
このような重厚なテーマと同時に、イマゴのプロダクションには十分にバラエティがあります。特に、スナイダーの官能的な演技は、ギルダとオットーに寄り添うさまが、特にクリーミーなシュークリームのようです。
第2幕では、ダイアン・スランプが面白おかしいミス・ホッジを演じ、ロンドンのフラットで滑稽さを生み出します。彼女のコミカルな動きや、ギルダに対する「ミス」という呼びかけは、観客の笑いを誘います。また、ルハンも引き立つ瞬間を見せ、彼の退場シーンは非常に笑える緊迫感にあふれています。
劇中のシーン間に流れるジャズ音楽は、スクリューボールコメディの急速なペースを感じさせますが、劇の中でより真剣なトーンも交えています。
そして、第三幕では、オットーとレオがギルダのパーティに登場し、まるで双子のフレッド・アステアのように、紳士的な衣装をまとった二人が見事なダンスを披露します。
彼らの絶妙なタイミングのダンスには目を奪われ、ボトルやカクテルシェイカーで音楽を作り出すバウデビル・スタイルのパフォーマンスも見逃せません。音響技術者ミス・ラーセンによってクリアに演出された音響効果も相まって、観客が楽しむことができるシーンが展開されます。
イマゴのこのプロダクションは、笑いだけでなく、カワードが知っていたように、人生の全てが笑えるわけではないことを理解する視点を与えています。
画像の出所:orartswatch