ニューヨーク市に住む人々にとって、ネズミやゴキブリ、悪徳な家主に慣れ親しんでいる人たちが多い。彼らは、アニメ広告や流行に乗ることなく、自分の生活を大切にしている。
そんな彼らが訪れるポップスターたちのニューヨークへの賛美は、いつも可愛らしすぎて感じられる。テイラー・スウィフトにとって、ニューヨークは明るい灯りと大きな夢の遊び場であり、多くのロマンティックコメディ映画に描かれている通りの場所だ。彼女たちの歌の中では、街の隅々に潜む約束やロマンが感じられる。
たとえば、ロサンゼルス出身のポップスター、アディソン・レイは、今年の新曲「New York」で、ボウリーホテルに荷物を置いた後、クラブからクラブへ移動する様子を歌っている。「自由を感じる」と彼女は歌った。
さらに、ローレンの最新アルバム『Virgin』では、彼女が「Baby’s All Right」のような会場の輝きの中で踊っている様子が描かれている。彼女は「街の声に呼ばれている」と感じている。
もちろん、ニューヨーク市は簡単にロマンチックに描かれるけれど、長くこうした地に住むほど、その遊び場は感情の地雷原にもなり得ることに気づく。自由がある一方で、住民には強さや冷たさが要求される街でもあるからだ。地下鉄の中で気持ちを隠してはいけないのは、その一例だ。
チャペル・ローンの最近の別れの歌「The Subway」でも、地下鉄で元恋人を見かけたことでの心情が描かれている。彼女は「階段で君を探さない日が来るまで終わらない」と歌い、別れる日をカウントし続ける様子を表現している。
以前の作品「Naked In Manhattan」では、ニューヨークは性的な実験の場として描かれ、街の魅力は新たな女性との関係を象徴していた。彼女は、「ニューヨークでは色々なことを試せる」と歌い、その可能性を表現していた。
しかし、「The Subway」は、ニューヨークの公共交通機関の最悪の日々にリリースされた。ローンは、街の楽しみではなく、その独特な厳しさに直面する様子が描かれている。ミュージックビデオでは、彼女の長い赤毛にネズミが絡みつき、タクシーのドアに挟まれて引きずられるシーンもある。
彼女がワシントン・スクエア・パークの噴水で浮かぶ姿や、地下鉄の車両内でうろたえる様子が描かれているが、どんな状況でも彼女は都市のカオスの中でドラマとロマンを見つける。
「The Subway」は、これまでのハイキャンプや劇的なポップバンガーとは違い、90年代のジャングルポップの影響を受けている。彼女のボーカルは後半で何とも言えない感情を表現し、特にザ・クランベリーズのリーダー、ドロレス・オリオーダンを思わせる。
それでも安心してほしい。「4ヶ月経ってこの気持ちが消えないなら、ニューヨークなんて捨ててサスカチュワンに引っ越す」と彼女は歌い上げる。こうした状況、つまり別れた恋人と地下鉄で顔を合わせ、まるで無関係な人のように振る舞わなければならないのは、この広大な都市の面白さを端的に表している。
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