10月1日に日本酒の日を迎えることは、酒業界、ひいては日本の文化を振り返る良い機会です。
1978年以来、日本酒や焼酎の業界団体である日本酒造組合中央会(JSS)がこの日を祝います。
当初、この日は日本酒の製造年の始まりを示すものでしたが、現代ではその意味はより象徴的なものとなっています。
日本酒の日は、今や国内外の人々が日本の国酒の現状を評価する機会ともなっています。
過去数十年の動向を振り返ると、1970年代には国内での日本酒の出荷量はピークを迎えました。
1973年には、197百万ケース(各9リットル)が市場に流通しましたが、現在の国内の日本酒消費量はその24%に過ぎません。
それでも、1人当たりの日本酒消費量は 年間3.8リットルであり、ワインの3.2リットルを上回っており、日本酒は今もなお文化的に重要な存在です。
海外に目を向けると、その状況はまったく異なります。
1988年の記録では、輸出額は22億円で、50カ国からのものでしたが、2024年にはその額は434.5億円に達し、80カ国からの輸出が報告されています。
特に2020年から2024年にかけては約80%の増加があり、この期間の成長が注目されています。
また、720mlボトルあたりの平均単価も上昇し、1988年の243円から2024年には1,008円に達しています。
この高騰は、純米大吟醸などの高価格帯に分類される日本酒の人気に起因していると考えられます。
しかし、2024年以降に直面したのは、思わぬ米の危機です。
日本酒製造に使用される酒米が不足しており、米の価格が急騰しています。
酒米は栽培に手間がかかり、一般的な食用米よりも収量が少ないため、山田錦などの品種は常に高値で取引されています。
しかし、2024年以降、食用米の不足がこの利点を失わせました。
そのため、酒米の栽培を続けることが難しくなる危機に直面しています。
JSSもこの問題に対して特別にキャンペーンを展開し、政府に対策を求める声を上げています。
とはいえ、JSSは日本酒の推進にも力を入れており、様々な方法で世界市場における日本酒の重要性を強調しています。
特に地理的表示(GI)の重要性を広め、品質保証の一環として地域の特性を認識させる取り組みを行っています。
日本には現在18のGIがあり、品質向上の証として、国外での認知度も増しています。
さらに、JSSはソムリエ協会との協力も進めています。
有名なソムリエの協会であるASSIとのマスタークラスや試飲イベントを通じて、日本酒がソムリエや専門家に広く認識される機会を増やしています。
最近、マレーシアで開催されたアジア太平洋ソムリエコンクールでも日本酒が取り上げられました。
このようなイベントを通じて、参加者との交流も深めています。
JSSの海外担当幹部である樋口菜野は、「オーストラリアで多くの店舗を展開している高級レストラン・バーグループが日本酒を取り扱っていることを知った」と述べています。
また、「ベトナムの高級ダイニングでも日本酒のペアリングが行われていることもわかりました」と続けました。
樋口氏は、「日本酒の輸出はアジアにおいて根強いニーズが支える部分が大きいと思っていましたが、最近では上級ソムリエがいる高級店でも取り扱われるようになってきており、今後市場拡大が期待されています」と述べています。
今後のイベントやキャンペーンに対する準備も進められています。
引き続きASSIとの協力は続きますが、これはほんの始まりです。
2025年には、世界のトップソムリエ5名が日本を訪れる予定です。
彼らは、質の高い日本酒で知られる東北地方を訪れ、酒蔵を巡り、酒造りのプロセスを体験します。
さらに、2024年には「ワイン・パリ」や「プロヴァイン」などのイベントに参加し、日本酒の展示を行います。
これに加えて、本格的な教育プログラムやトレーニングも計画されています。
また、若い世代の飲酒傾向にも目を向け、低アルコール飲料を好む若者が増えていることを理解し、日本酒の商業戦略に新しいトレンドを取り入れる必要があると考えています。
日本酒のブレイクフォームとして「酒ハイ」が登場するなど、消費者の好みも変化しています。
もともとの伝統を大切にしつつも、JSSは前向きな計画を進めています。
日本酒の日は今や製造年の始まりとは言えませんが、振り返るには絶好の機会となっています。
現在、日本酒業界は様々な課題に直面していますが、それでもJSSは未来に向けた様々な戦略を持っています。
日本酒の日が今後も祝うべき理由があり続けることを期待しています。
画像の出所:thedrinksbusiness