日本の新車市場は、国内ブランドが圧倒的に支持されている厳しい環境です。
東京の狭い駐車スペースにミニクーパーやルノーを見かけることはありますが、一般的には高級ブランドのBMWやメルセデス・ベンツの車を見かけることが多いです。
それだけに、中国の大手自動車メーカーであるBYDが日本市場に進出することに注目が集まりました。
BYDはヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジアの他の地域で急速に成長しており、日本でも成功する可能性があるのか、その動向が注目されています。
しかし、現時点では厳しい状況が続いているようです。
BYDの日本での2年間の販売報告によると、2023年上半期に5,300台しか販売できていないことが明らかになりました。
これは、45店舗目の販売拠点を開設し、4台目のEVモデルを発表したにもかかわらず、期待される需要を生み出せていないことを示しています。
特に、日本市場では燃費の良さや信頼性が求められ、消費者は小型エンジンの軽自動車を好む傾向にあります。
そのため、BYDも値下げを行うという手法に出ています。
政府の補助金を利用し、最大100万円(約67,000円)の値引きを行うことで、車両価格が最大50%も引き下げられることが可能です。
例えば、BYDのアット・スリーの価格は4.2百万円未満となっています。
加えて、BYDはセアリオン7、アット・スリーのクロスオーバー、セールスポーツセダン、ダルフィンコンパクトなど、多様なモデルを取り揃えています。
2026年末には軽自動車規模の新型EVを発表する予定ですが、果たして本当に日本の消費者の心をつかむことができるのかは不透明です。
実際、日本市場での新車販売数は前年に465万台程度でしたが、アメリカ市場に比べてはるかに小さいため、BYDがこの市場にこだわる理由は何でしょうか。
BYDが日本市場に取り組む理由は、「日本に勝つことが目的ではなく、存在感を示すこと」であるという意見もあります。
特に、品質意識の高い消費者から認知を得ることは、BYDにとって重要なステップです。
こうした取り組みは、BYDがゼネラルモーターズやトヨタ、フォルクスワーゲングループと同等のグローバル企業として着実にのし上がるために必要不可欠です。
ただし、価格を安くすることは、中古車の価値や利益、ディーラーやサプライヤーにも打撃を与えるリスクがあります。
このため、中国政府はそのような価格引き下げ行為に厳しく対処してきました。
BYDが日本市場で動きを見せる中、他の自動車メーカーも注視していますが、果たしてどこまでその成果を上げられるでしょうか。
アメリカでは、車と住宅の売れ行きが経済の状態を測るバロメーターとされており、最近の車の販売データには懸念が高まっています。
2025年第3四半期の車の売上は強いものと見られていますが、次の四半期に入ると、その影響がどう出るかは疑問が残ります。
カーMAXなどの中古車販売大手が最近の四半期で売上と利益が大幅に減少したことが、業界全体の不安を反映しています。
さらに、トランプ大統領の関税政策や自動車メーカーの高コストの電動化戦略の見直し、金利の引き上げなどが影響を及ぼしています。
日本の新車市場へのプロセスを強化しながら、アメリカ市場でもBYDは再評価されることが期待されています。
メルセデス・ベンツにおいては、アルミニウムのリサイクルを通じて脱炭素化を進めている動きが見られます。
ノルウェーの金属生産会社Norsk Hydroとの協力による低炭素アルミニウムを使い、新型電気自動車CLAの生産に取り入れています。
この取り組みは、製品のサステイナビリティを重視する高級ブランドにとって、環境に配慮した材料にコストをかけることが将来的な利益に繋がるという意義を持っています。
社員にとっても、サステイナブルな材料の使用による製品の価値が再認識されることが期待されます。
今後の市場の動向に影響を与える要因は多岐にわたるため、個々の自動車メーカーの戦略が求められます。
2025年末までの新車販売動向については、多くの消費者の意思決定にも影響を及ぼすでしょう。
日本市場の厳しい競争に加え、アメリカ市場でも強気な売り出しが行われる中、今後の動きが注視されます。
画像の出所:insideevs