東京を離れて、伝統的で歴史的な日本を感じられる場所を求めている人々にとって、京都や奈良は定番の選択肢ですが、昨年夏に訪れた山陰地方が、もっと深い日本の魅力を感じさせてくれるのではないかと思いました。
山陰地方は、島根県と鳥取県を指し、美しい自然と共に多くの神社や歴史的な名所が点在しています。
この地域は日本の歴史の中でも特に重要な場所であり、古代の神話が生まれた地でもあります。
例えば、出雲大社は、新しい国を築こうとした神、オオクニヌシノカミを祀った日本最古の神社とされています。
さまざまな神々が集まる神無月には、特にこの出雲地方で神々が集う「神有月」と呼ばれる特異な時期になります。
神話が根底にあるこの地域は、歴史と精神性が色濃く残っており、旅の間に私が感じたのは、まさに「異質で神秘的な」に他なりません。
山陰の神秘にふれる
特に印象深かったのは、タテイワ神社の訪問です。
地図で確認すると、私が宿泊していた山頂の寺院の近くに位置していました。
訪れる前は小さな田舎の神社を想像していたため、到着時の驚きが大きかったです。
小道を進むと、入っていくのをためらうほどの深い森の中に突入しました。
そして、竹林に囲まれた開けた空間に三つの大きな石が立っているのが見えました。
これらの石は12メートルを超える大きさで、まさに古代からの神聖さを感じさせます。
ここには通常の神社建築も、スタッフも、観光客もおらず、ただ静寂が広がっていました。
その瞬間、背筋がぞくぞくしました。
タテイワ神社は、1300年以上の歴史を持ち、ここで降雨祈願が今でも行われているという事実に圧倒されました。
もう一つの印象的な体験は、鳥取県の大山で行われる松明行列の参加でした。
大山は日本一振りの美しいシンメトリックな山として知られており、信仰が根強い場所でもあります。
この行列は、登山道の開放を祝う儀式で参加者の安全を祈るものです。
霊木が生い茂る中、暗闇の中に橙色の光が灯る瞬間、松明を持った2000人以上の人々が山を下っていく様子は、まさに神秘的な光景でした。
その光はまるで暗闇の川を形づくるようで、幻想的な雰囲気を醸し出しています。
それでも、祭りの終わりには賑やかな屋台が並び、現代的な日本の祝祭の顔を見せてくれました。
小さな村でも、古代のスピリチュアルな体験と、現代的な文化が交錯するこの山陰地方。
多くの人が日本を訪れる際に所謂「日本らしさ」を求める中で、本当の意味での「日本的」な体験を感じるには、山陰こそが最適な場所だと実感しました。
旅を終えて
帰国後、旅の思い出を何度も振り返り、友人に山陰地方を勧めることが止まりませんでした。
旅行者にとって「観光地」として馴染みの薄いこの地ですが、私にとってはその「未知さ」が大きな魅力でした。
ここでの体験は、単なる観光とは一線を解す「神秘的で深遠なものでした」。
神社や寺院を訪れることが好きな私でも、山陰ではただの観光名所ではなく、歴史と精神性に包まれた「異世界」に迷い込んだような感覚を持ちました。
未開拓の地である山陰の魅力にぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。
画像の出所:metropolisjapan