Fri. Aug 15th, 2025

2025年5月30日から9月14日まで、ニューヨークのザ・ドローイング・センターで「生命の媒介にて:ビーフォード・ディレイニーの描画」という展覧会が開催されます。

本展は、アーティストのキャリアの中で彼が表現した主題とスタイルの幅を展示した4つのデケードにわたる回顧展です。

ビーフォード・ディレイニー(1901-1979)はテネシー州ノックスビルで生まれ、ボストンで美術を学びました。その後、1929年にハーレム・ルネッサンスの高潮の中でニューヨークに移住し、1953年にはパリに渡り、その後の人生のほとんどをフランスの首都で過ごしました。

「生命の媒介にて」は、ニューヨークで30年ぶりに開催されるディレイニーの大規模な美術館展であり、彼の芸術的実践の核となる描画に焦点を当てた初めての試みです。

本展では、主に木炭、インク、ペン、鉛筆、パステル、水彩、ガッシュなどの紙作品が約90点展示されます。さらに、いくつかの絵画やアーカイブ資料も含まれています。その中には、手紙や展覧会のパンフレット、ドキュメンタリー写真、プレスクリッピングなども含まれています。

展示作品は1929年から1971年にかけて制作されたものです。最も古い作品は、1929年に制作された「ハーレムのアスリート」というプロファイルの木炭肖像画です。この作品は、アーカイブ資料が収められたビトリーヌの上に掛けられています。

「ハーレムのアスリート」は、1930年にニューヨーク公共図書館の135丁目支所(現在はハーレムのシュンバーグ文化研究センターとして知られる)で開催された「ビーフォード・ディレイニーのポートレートスケッチ展」の案内状にも掲載されており、これはディレイニーのニューヨークでの初の個展でした。この展覧会のチェックリストは全て描画作品で構成されており、木炭の肖像画10点とパステルの作品5点が含まれていました。

本展は、1929年から1971年にかけてのディレイニーの多様な作品を通し、彼の独自な視点と深い感受性を観客に伝えます。

特に、1964年に制作された「セルフポートレイト」は水彩、ガッシュ、グラファイトを用いた作品であり、評価の高い一品です。この作品は、彼の自己認識と彼自身の内面世界を探求する重要な例として位置付けられています。

また、本展では1945年に制作されたジェームズ・ボールドウィンの肖像画も展示されており、これは彼の重要な友人との関係を示す作品です。ボールドウィンはアフリカ系アメリカ人の作家として知られ、ディレイニーの作品においても重要な位置を占めています。

さらに、1950年に描かれた「ヤド」や、1961年の「Untitled」など、さまざまなスタイルの作品が並び、彼の画風の変遷も感じ取ることができます。

ディレイニーは、彼の作品を通して都市生活や人間の感情、抽象的な形を描写し続けました。

彼の作品には、1956年頃に描かれた「抽象的な円」などがあり、これは彼の抽象的な探求の一側面を示しています。また、ディレイニーの多くの作品に見られるように、彼は色彩や形状を用いて、感情を視覚的に表現することに挑戦し続けました。

展示のディレイニー作品は、彼の生涯を通し彼がどのように成長し、変化し、そして創造的なアイデンティティを追求したのかを示す貴重な機会を提供します。

この展覧会は、彼の作品の新たな視点を提供するだけでなく、アフリカ系アメリカ人アーティストの貢献を再評価する重要な場ともなっているのです。

ディレイニーの描画は、彼自身の内面世界や彼が見た世界、さらには彼自身の文化的な背景を融合させたものになっています。

展示は非常に高い注目を集めており、アーティストが自己表現をどのように進化させていったのかを理解できる素晴らしい機会です。

「生命の媒介にて:ビーフォード・ディレイニーの描画」は、ニューヨークのザ・ドローイング・センターで、2025年の夏に訪れる人々に感動を与えることでしょう。

画像の出所:culturetype