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イアン・バルーマは、1945年の歴史を探る『Year Zero: A History of 1945』や、第二次世界大戦中の欺瞞と生存を描いた『The Collaborators: Three Stories of Deception and Survival in World War II』など、数多くの著作を精力的に執筆している。

近年の右派ポピュリズムの拡散について、バルーマはそれをウイルスと比喩し、各国が独自の文化や歴史に基づいた異なる変種を受け入れていると指摘する。

1930年代のファシズムを通じて示されたように、ポルトガルのカトリックファシズムはドイツのナチズムとは異なり、現在のアメリカのドナルド・トランプ大統領のカルト的人気もフランスのマリーヌ・ルペンの国民連合とは異なったものだ。

日本でも、サンセイト(日本第一党)という自国優先を掲げる右派ポピュリズムが台頭している。

2020年に設立されたサンセイトの党首、神田壮平は「日本をユダヤ資本に売ることはない」と発言し、男女平等を共産主義として描いている。

最近の上院選挙において、与党自由民主党が過半数を失ったことから、サンセイトは14議席を獲得し、合計15人の議員を抱える大きな勝者となった。

この議席数は多くはないものの、日本の主流保守派を脅かすには十分であり、彼らはさらなる右派への票の流出を懸念している。

日本のポピュリズムは他の国々の極右政党や、日本の旧来の極右とは若干異なる。

過去数十年間、日本の都市に騒音をまき散らしてきた音声トラックは、愛国的な戦時歌謡を流し、若者たちが準軍服姿で目立っていた。

彼らは主に懐古主義に基づき、日本の帝国主義的過去を懐かしみ、アメリカや左翼、日本共産党に対して当時の日本が誇りを持って戦ったことを訴えてきた。

このような騒音立てる少数派の極右は、戦後の平和憲法や国際情勢にも強い影響を与えており、特にアメリカによって策定された平和憲法に多くの不満を抱いている。

現在、彼らが最も興奮を覚えているのは、増加する外国人の存在に対する反応である。

日本には伝統的に外国人が少なく、多くは日本語のみを話す韓国人を除いて、ほとんど受け入れられなかった。

1980年代に入ると、イラン・イラク戦争から逃れたイラン人などの移民労働者が来たが、ほとんどが帰国していることが多い。

しかし、その状況は変わりつつある。現在、日本には380万人の外国人居住者が存在し、近年の為替レートを背景に、2000万人以上の観光客が訪れている。

とはいえ、外国人の比率は日本の人口のわずか3パーセントで、フランスの10パーセントとは大きな差がある。

日本政府は、急速に高齢化が進む社会において、観光業や移民を促進し、収入を得ることを目指している。

こうした政策転換は多くの日本人を不安にさせ、サンセイトは外国人をインフレや生活費の高騰、賃金の停滞、米不足と結びつけて攻撃することで支持を集めている。

特に多くの外国人観光客と新規居住者は中国人である。

20世紀初頭から続く日本の右翼ナショナリズムは、主に反西洋の立場を取っていたが、今や強力な中国に対して恐れを抱くようになった。

多くの日本人は、新しく訪れる裕福な中国人観光客を、1950年代のアメリカ人観光客に重ねて見ている。いい印象を持っていない人が多い。

このような状況は大きな問題であり、中国の軍事的拡張の動きと、欧米諸国にとっての脅威という認識がますます一層強まっている。

アメリカの占領下において、日本の平和憲法は、中国や他の共産主義国家からの脅威に対する防護策の一部とされた。

しかし、トランプ大統領のもとでアメリカが再び信頼できる安全保障の提供を失った今、日本は自らの方向性を模索している。

中国が台湾侵攻を成功させ、アメリカの介入なしに日本の周辺海域を支配することがあれば、日本は独自の核兵器を持つ方向に進む可能性がある。

これは多くの日本人にとって望ましい結果ではないだろう。

しかし、冷静に考えると、中国にとってもそのような状況は好ましくないはずである。

画像の出所:theglobeandmail