日本は、中国の軍事力の増強と積極的な行動によって引き起こされた、過去80年で最も深刻かつ複雑な安全保障環境に直面しています。
これを受けて、日本政府は空中およびミサイル防衛の強化を進めるとともに、自律型システムの拡充と機動展開能力の強化を図っています。
また、アメリカとの重要な協力関係を深めています。
防衛大臣の佐藤正久氏は、新たに発表された「防衛白書2025」の中で「アメリカとの同盟は我が国の安全保障政策の重要な支柱であり、インド太平洋地域の平和と安定の礎である」と強調しました。
日本政府は、2025年度の防衛予算として過去最高の550億ドルを承認しました。
これは、2027年までに国内総生産の2%に達することを目指す5カ年計画の3年目にあたります。
現在の予算配分は、アメリカ製のトマホーク巡航ミサイルなどの長射程ミサイルの調達や、防衛通信衛星の開発を優先しています。
2025年3月、日本自衛隊(JSDF)は、平時から緊急時までの指揮統制を合理化・集中化するためにJoint Operations Command(JJOC)を立ち上げました。
同時に、約60,000人の在日アメリカ軍(航空自衛隊、宇宙軍、海兵隊、海軍、陸軍)もJJOCとの運用調整を最適化するためにJoint Force Headquartersへ移行中です。
米海軍のサミュエル・J・パパロ司令官は、この動きを「70年間で最も強力な同盟の軍事協力の改善のひとつ」と称賛しました。
日本の防衛白書は「国際社会は第二次世界大戦以降、最大の試練に直面しており、新たな危機の時代に入っている」と指摘します。
「普遍的な価値観やそれに基づく政治・経済システムを共有しない国々が、その影響力を拡大している」と警鐘を鳴らしました。
また、その一環として「横暴な力による現状変更の試みは、既存の国際秩序に対する深刻な脅威である」と強調しました。
白書においては、以下のような脅威が浮き彫りになっています。
中国の数十年にわたる軍事拡張は透明性に欠けており、北京は東シナ海や西太平洋での日本周辺での活動を強化しています。
中国の軍用機や海上保安庁の艦船は、日本の領空や水域に侵入しており、また南シナ海や自主的に統治される台湾の周辺で不安定な行動を行っています。
これらの動きは「日本にとって前例のない、最大の戦略的な挑戦であり、我が国は包括的な国力をもって応じる必要がある」と述べています。
さらに、北朝鮮の軍事活動、特にその違法な核および弾道ミサイルプログラムは、「日本の安全に対する以前にも増して重大かつ差し迫った脅威となっている」と警告しています。
北朝鮮は音速の5倍で移動する極超音速ミサイルを発射しており、これは追跡・迎撃が難しいとされています。
また、ロシアも沿岸ミサイルや戦闘機を展開しており、日本周辺での軍事基地の建設や大規模演習を行っています。
モスクワは北京との軍事協力を強化しており、共同爆撃機の飛行や海軍の演習を実施しています。
日本の航空自衛隊は、2024年度に704回のスクランブルを実施し、そのうち464回は中国機、237回はロシア機に対するものでした。
このような繰り返される共同活動は、日本への威圧を意図したものであり、国家安全保障の観点から重大な懸念を抱いています。
それに対抗するため、東京は「防衛能力の根本的な強化」を進めています。
その取り組みに含まれるのは、ステルス誘導ミサイル駆逐艦、長距離無人監視機、イタリアおよびイギリスとの共同開発による次世代戦闘機、そしてアメリカと共同開発しているグライドフェイズ迎撃ミサイルなどです。
日本は、「世界の主要な軍事大国であるアメリカとの同盟に基づき、平和と安全を維持していく」と白書の中で述べています。
その根底にあるのは、民主主義や人権の尊重、法の支配などの基本的な価値の共有です。
画像の出所:ipdefenseforum