新しい日本の茶文化を現代に提案する一連の茶製品が、デザイナーの緒方慎一郎によって発表されました。その中には、海藻、蜂蜜、レモングラス、森林、ディル、針葉樹、出汁、醤油、オレンジといった、宇宙のように広がるフレーバーと香りがふんだんに呼び起こされています。
緒方にとって、すべては茶から始まり、茶で終わると言えます。1998年に東京で「シンプリシティ」を立ち上げて以来、彼は日本の伝統豊かな茶の世界に新しい視点を提供する独自のクリエイティブな道を切り開いてきました。
茶碗の中身だけではなく、緒方の創造的なビジョンは、空間や物、儀式、瞬間に反映されています。それはミニマリストなやり方で、 crafted であり、静けさの中に層をなしており、伝統的な日本文化の本質に深くインスパイアされています。
彼の現代的な茶の聖域は、東京の「ヒガシヤ 銀座」のミニマリストなインテリア、自然素材のパレット、季節に応じたティーサロンの味わいから、京都の「緒方」や、海外のフラッグシップ「緒方 パリ」にまで及びます。
シンプリシティのクリエイティブな表現には、洗練された日本の陶器、現代の和菓子、職人による道具、現代的な香、身近なレストラン(東京の親密な「八雲茶寮」など)、さらには小売店やラグジュアリーホテル(大阪のフォーシーズンズ、倉敷の夜屋、東京のアンダーズなど)のインテリアが含まれています。
最近、緒方は東京、京都、博多、岡山の四つのスペースに、ティーを楽しむ新しい方法を提案する「サボエ」という名の茶室とショップのシリーズを立ち上げました。
このコンセプトの鍵となるのは、現代の生活に調和するように設計された十種類の茶を集めた「T. コレクション」です。これは、日々の様々な場面、朝から夕方まで楽しむことができます。たとえば、グレープリーフと赤紫蘇を混ぜたワインのような深い赤色の黒茶「紅(ベニ)」(5)や、ジンジャー、山椒の葉、柑橘の皮が加わった爽やかなスパイシーなほうじ茶「香(コ)」(8)などがあります。
日本の茶業界には珍しく、ティーバッグで手に入るこの茶は、 biodegradable な携帯用の紙カップにシンプルに包装されており、家でも外でも簡単に熱湯を注いで楽しむことができるのです。
「香り」の手作りワークショップ、通称「香り」も新たな革新の一環です。専門家の手で、日本の文化豊かな香りの世界の目に見えない層を解きほぐし(自分自身の香を作るチャンスも)、八雲茶寮、ヒガシヤ銀座、緒方、緒方パリなどの静かな空間で行われます。
これらすべてのプロジェクトには、シンプリシティの伝統日本に対する現代的な解釈が共通しています。表面の美しさを超える美的印象が、ここでは言葉以上の意味を持っています。
緒方は、ヒガシヤ銀座のプライベート茶室で、Wallpaper* との対談で過去と未来、現代における茶、そして人間と自然の調和の必要性について語ります。
自然とのつながりを重視する緒方の言葉は、実に印象的です。彼いわく、「茶は体に良いだけでなく、あなた自身を自然とつなげる方法です。」
緒方は日本では、日常的に食品としての茶を飲み続ける中で、たくさんの影響を受けてきましたが、彼はその文化の複雑さに疑問を抱き、現代的な感覚で再解釈することが必要だと認識しました。
彼のスタイルは具体的に言葉で表現することは難しいとしつつも、21年以上にわたり培った実践に基づく現代的解釈をまじえて、サボエのコントラストを創り出しています。彼の目指すのは、シンプルでアクセスしやすい茶体験を実現しつつ、持続可能性や素材の自然性を守ることです。
緒方が自らのクリエイティブなビジョンを持っているのは、多様性と伝統、現代的なアプローチを融合させるためです。彼の作品は、いずれも自然の要素を意識したものになっています。具体的には、木、火、水、土、空気といった自然の五つの要素を通じて可視化されているのです。
岡山のサボエでは、100年の歴史を持つ醤油工場と倉庫の建物をリノベーションし、古い魅力を保持しつつ新たなエネルギーを加えることを目指しました。このように、彼のプロジェクトは日本の伝統文化を守りつつ、今の時代に合った新たな「在り方」を創り出すための努力に満ちています。
その中で、大切な要素の一つが自然との共存の模索です。彼は「人間は決して自然を征服できない」と語り、自然の美しさや形状を尊重する姿勢が窺えます。
緒方のビジョンを実現するため、彼はさまざまなプロジェクトにおいて、単なる製品やスペースのデザインではなく、生活することや体験を重視した環境を創造することを目指しています。さらに、次世代への教育プログラムの設立を検討しており、茶道や和菓子作りなどの技術を広めていく意思も示しています。
このような取り組みを通じて、緒方は「内面の充実感」を創出しようとしています。彼の目標は、彼が亡くなった後も800年以上そのメッセージが引き継がれることだと語り、茶とともに歩んできた道のりを未来へつなげていく考えです。
彼の作品や理念は、茶だけでなく、日本の美意識や文化を今後も大切にし続けるための重要な指標となることでしょう。
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