日本の衆議院において女性の割合がわずか15%に留まる中、武井紗奈恵の首相就任は、客観的に見ても大きな成果と言える。
彼女は、2020年に辞任した安倍晋三元首相以来、特に著名な政権交代が続いている国を引き継ぐ。
64歳の武井は、アメリカを抜いて世界で初めての女性リーダーとしての地位を得た。
彼女は、米国との関係改善を目指し、米国のドナルド・トランプ大統領と初の首脳会談を果たすなど、好調なスタートを切った。
トランプ大統領は武井を「素晴らしい」リーダーとして称賛し、武井は彼をノーベル平和賞に推薦する動きを見せた。
彼女は、前任の石破茂元首相との関係がほとんど存在しなかったトランプと比べ、より強い関係を持つ可能性が高い。
その背景には、武井が安倍氏の教えを受けた点がある。
安倍氏は、トランプ大統領との間に信頼関係を築き、トランプにゴルフクラブを贈ったことでも知られている。
だが、W世舵の産物とも言える武井の選出に対し、国内外で賛否が分かれている。
武井の当選を祝福する声の陰で、西側メディアは彼女を「極右」や「超保守」と形容し、さまざまな懸念が浮上している。
加えて、オンライン上でも左右両極端から彼女への反発が見られ、左派からは彼女の伝統的保守主義が非難され、右派からは保守的でないと批判を受けている。
彼女は自民党に所属しているが、石破よりも右寄りな立場を持つことは明らかである。
自民党は大きなテントのような政党であり、中道右派から超保守的なナショナリストまで幅広く含まれている。
彼女は「鉄の女」マーガレット・サッチャーを自身の影響源として挙げ、そのつながりがメディアに注目されている。
サッチャー同様に、武井も政治エリート出身ではない。
両者とも、各国初の女性首相としての地位を打破した点で共通している。
サッチャーは、冷戦時代の同盟国アメリカやNATOとの協力を重視した保守的な外交政策を好んだが、これは武井も同様である。
武井はまた、家庭内における結婚と夫婦の姓が異なることに反対するような伝統的保守的視点を持っている。
しかし、彼女の成育環境はサッチャーとは大きく異なる。
武井は1961年に、第二次世界大戦後の社会変化が見られる時代に生まれ、保守的な両親に反対されながらも、神戸大学に通うために毎日6時間通勤して学び、アルバイトで学費を稼いだ。
政治に興味を持つことはなかった彼女だが、ある兆しで政治への道を歩むことになった。
それは、松下政経塾のパンフレットを手にしたことである。
松下政経塾は、当時の日本が経済的成功を収めていた時期に、経済の先行きを見越して設立され、経済不況への対策を求めた。
武井は、松下氏の言葉に触発されて政治を志すようになった。
彼女は1987年から1989年までアメリカで、民主党のパット・シュローダー議員の補佐を務めることで西洋文化に触れ、保守的な立場に転向する土台が築かれた。
日本に戻った後、彼女は政治アナリストとしての仕事をしたのち、1993年に32歳で衆議院議員として当選した。
1996年には自民党に所属を変更し、再び国政の舞台に立つこととなった。
以降、彼女はメディア規制や女性皇位継承反対など、数々の保守的な立場で知られるようになった。
サッチャーがイギリスを新自由主義的方向に導いたのに対し、武井は財政支出の拡大と景気刺激策を進める経済政策を支持した。
この点で、日本では右派の支持基盤も強いが、日本の経済環境は欧米とは異なり、公共政策に対する支持が一般的である。
ただし、彼女が引き継ぐ問題は依然として困難であり、その効果に疑問を抱く声も少なくない。
武井の政策の中でも、大きな問題となるのは外国人労働者の受け入れ拡充である。
2024年末時点で、非日本人居住者は380万人に達しており、人口の約3%を占める。
日本は西欧諸国の大規模移民問題を避けようと苦慮している一方で、人口減少という現実も直視している。
建設や農業分野での労働者確保が試みられているが、長時間労働や低賃金、労働者の搾取が懸念されている。
厳しいビザ管理により、大部分は帰国する労働者が多いのが実情だが、ポピュリスト政党は外国人をスケープゴートに利用し、自民党に不満を持つ有権者の支持を得ようとしている。
武井は「大量追放」を目指しているわけではないが、違法移民に対して強硬な姿勢を示しており、これは彼女の主要な政策の一つでもある。
また、靖国神社への参拝が問題視されている。
靖国神社は、戦争で亡くなった日本の兵士を追悼する場所であり、戦争犯罪者も含まれている。
政治家たちの訪問は、平和を訴える名目ではあるが、隣国の中国や韓国からは歴史修正主義と見なされることもある。
武井自身も日本の戦争責任についての立場を和らげており、これは前任者の安倍氏が取ったスタンスと似ている。
武井は、韓国に対して柔軟な姿勢を保つことが期待されている。
これは韓国の李在明大統領が日本との関係強化を望んでいることを受けた賢明な措置である。
彼女は、中国に対する強硬姿勢や台湾への支援など、トランプ政権の方針と一致する立場を取ることが予想される。
彼女はまた、トランプ大統領との強い関係を積極的に活用し、両国間の関税交渉を進めるだろう。
武井が掲げる「新しい黄金時代」は、ただのスローガンではないと証明することが彼女には求められている。
日本は現在、物価高や中国の台頭、そして人口減少という問題に直面している。
彼女は、前任者の下で実現できなかった支持基盤の強化と、国内外での効果的な関係構築を果たさなければならない。
武井は、マーガレット・サッチャーのように自らの政治的立場を堅持し、それをどう活かすことができるのか、試される時が来ている。
画像の出所:thedispatch