高市早苗が日本初の女性首相に就任したが、この結果はフェミニストや進歩的な政治の勝利とは言えない。
高市は右派の超保守主義者であり、女性の役割や日本の歴史、社会に対する伝統的な視点を基にした政策を持っている。
彼女は、他の国々の右派ポピュリストと同様に反移民の立場を取っており、「国家のアイデンティティや伝統的な価値」を守ることの重要性を強調し、強力な経済成長の必要性を訴えている。
しかし、移民を制限する政策は日本の経済問題を解決するどころか、労働不足やインフレを引き起こす傾向がある。
日本は出生率の低下により、先進国が抱える人口危機の「カナリア」である。
日本の人口は16年連続で減少しており、もし高市がより実務的な移民政策を採用しないなら、彼女の政権は経済的停滞と相対的な衰退を迎える可能性が高い。
高市首相の就任プロセスはどうだったのか。
高市は今月、与党の自由民主党のリーダーに選出されたが、政治資金スキャンダルを巡る問題から与党の連立パートナーである公明党が政府から撤退したことで、首相就任は遅れた。
自由民主党は、日本の国会である「国会」の上下両院において少数派であり、政権を維持するために連立パートナーが必要となる。
長期にわたる交渉を経て、右派の日本維新の会が高市と自民党政府を支持することで合意した。
とはいえ、新しい連立政権は下院での過半数に2議席足りないため、さらなる議会の支持を必要としている。
これにより、高市の少数政権は前の政権よりも不安定で制約の多いものになる。
日本の人口問題について、高市の政権が直面する課題は山積している。
日本の人口は2008年に約1億2800万人に達した後、徐々に減少しており、現在は約1億2400万人である。
昨年の出生率は1.15という記録的な低水準に落ち込んだ。
現状の予測によれば、2070年までに日本の人口は8700万人、2100年には6300万人にまで減少する見込みであり、そのときには働き手の人口は半数しかいなくなる。
人口の減少だけでなく、高齢化も問題であり、年金や医療費の上昇が懸念されている。
日本では教師や医者、介護職など、多くの職業が既に深刻な労働不足に直面している。
過去の政府は減少する人口問題を重要な課題として認識しつつも、具体的な対応策を講じていなかった。
さまざまな施策が外国人住民や労働者を受け入れてきたが、自民党政府の下では、移民を日本社会に統合するための規模やコミットメントを持ったプログラムが導入されることは少なかった。
そのため、これらのプログラムは限られた成功に留まっている。
今年、日本の外国出身者の数は記録的な360万人に達し、全人口の約3%を占めている。
しかし、これは他の多くの先進国と比べると依然として低い数字である。
外国人人口の増加は、日本で生まれる「外国の赤ちゃん」の数を記録的なものにし、中国人やフィリピン人、ブラジル人の母親がその中で最も多くを占めている。
このことは、日本人夫婦から生まれる新生児の減少を若干相殺している。
また、日本の観光産業は好調で、昨年は約3700万人の訪問者があった。
これらの外国人の増加は、反移民政党や政策の台頭を伴っており、極右の「サンセイ党」もその一例である。
このため、自民党はサンセイ党や他のポピュリスト政党に票を失わないように、さらに右にシフトする必要があった。
この背景から、高市のナショナリスト的なレトリックが、自民党の年齢層の高い保守基盤に共鳴したことがわかる。
高市は労働力不足がある特定の分野への外国人労働者の受け入れを支持しているが、厳しい基準(日本語能力、研修、監視など)を設けている。
また、彼女は移民の大規模な定住や外国人住民への政治的権利の大規模な付与に反対している。
彼女の政策はまだ具体的な詳細に欠けているが、外国人を国家の一体性に対する危険として厳しく制御する必要があると位置づけている。
高齢化した世界の中で、年長者の人口が多い国では、右派保守メディアや政治家による反移民の恐怖キャンペーンにさらされやすい。
日本もその例外ではなく、高市のような政治家は、移民や外国人を社会的調和や文化遺産への脅威として描くことで、選挙上の利益を図る。
その結果、移民が最も必要な高齢国である日本が、最も移民に抵抗を示す傾向がある。
その代わりに、多くの保守派は、主に支配的な人種や民族集団の女性に対して出産を促す親ナタリスト政策を推進している。
ハンガリーが一例で、そこでは右派ナショナリスト政権が親への豊富な財政的特典を提供しているが、それでもハンガリーの出生率は減少している。
高市が首相である限り、日本では女性の独立や社会での地位の向上、出生率の大幅な上昇、移民の受け入れは期待できそうにない。
日本の人口危機は今後も続き、さらに悪化する可能性が高い。
画像の出所:theconversation