過去2年間にわたり、日本銀行(BOJ)は、世界で最も魅力的なジェンガのゲームを行ってきました。
BOJの上田和夫総裁が政府債券の保有額を減らすなど、一つの金融ブロックを取り除くたび、彼のチームは全体のゲームが崩れてしまうリスクを伴っています。
そして、上田氏は先日、最もリスキーなブロックかもしれない株式から撤退する計画を発表しました。
2013年以降、BOJは政府債券や株式を前例のない方法で保有してきました。
2018年には、BOJのバランスシートが日本の4.2兆ドル経済の規模を超え、G7諸国の中で初めてのこととなりました。
その時の総裁は黒田東彦氏でしたが、2023年4月に上田氏が就任し、金利の正常化を目指しています。
2025年1月には金利を17年ぶりの高水準である0.5%に引き上げ、さらに4,000億円(約27億ドル)ずつ債券購入を減少させました。
しかし、世界的な市場混乱はその額を2,000億円に引き下げることを余儀なくしました。それでも、BOJが市場から徐々に撤退している方向性は明確です。
今や、その撤退にETFを通じた株式も含まれました。金曜日には、BOJが株式投資から撤退することが初めて明示されました。
簿価で見ると、BOJのETF保有は約37兆円(約2,510億ドル)相当であり、市場価値ではその2倍以上となります。
BOJは、ETFというブロックを引き抜いても市場の崩壊を招かないことを期待していますが、長年にわたって日本の株式市場の投資「クジラ」としての存在感を持っていたBOJの撤退は容易ではありません。
実験としては非常に危険なものとなります。
今週、日経225株価指数は過去最高値を更新し、45,000を突破しました。
しかし、BOJが市場への支援を減らしている今、投資家たちはこのような高い株価に経済の基盤が支えているのか疑問を抱かざるを得ません。
投資家には、アメリカのドナルド・トランプ大統領の関税が影響を与えている中、日本経済が包含しているリスクに疑問を持つ理由があります。
日本は15%の関税をうまくやり過ごしましたが、それでも経済にとって大きな逆風となっています。
一方、中国は減速し、アメリカ経済が停滞している時にデフレを輸出しています。
したがって、ソフトな国内需要と信頼感の低下の中で、日本がこの困難な環境を乗り切れるかどうかは疑問の余地があります。
BOJが経済の見通しに自信を欠いている状況において、なぜ投資家が将来の見通しに自信を持てるのかについても、正当な疑問が存在します。
上田チームが金利をすぐに引き上げられるという想像は、日々幻想的になっています。
さらに、今月初めに辞任した岸田文雄首相の後任が誰になるかという完全な不透明感も加わります。
ムーディーズ・アナリティクスの日本経済学者、ステファン・アングリック氏は「日本経済の見通しは厳しい」と述べています。
輸出と産業生産が低下し、高いアメリカの関税が製造業者を苦しめています。
また、インフレが賃金を上回っている上、政府が大規模な投資に対して消極的であるため、国内需要も救いにはなりません。
政治の不確実性もこの状況を悪化させていて、 アングリック氏は「後任者のもとで大きな政策転換があるとは考えにくい」と指摘しています。
支持率低下に直面している投票者の生活費問題や右派ポピュリズムの台頭への対処をしなければなりません。
また、財政拡大を推進する候補者であっても、日本経済には需要サイドの刺激策以上のものが必要であるという現実に直面しています。
このような不確実性が、経済的および地政学的な観点から世界の見通しが暗くなりつつある中でのことです。
さらに、株式市場の主な投資「クジラ」が市場から退くのです。
この全体の展開がどのように進展するかは誰にもわかりませんが、少なくとも一つは明らかです。
BOJは、最も危険なジェンガのピースを取り除く際に、金融システムを不安定にしないよう十分に注意を払わなければなりません。
画像の出所:forbes