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2023年初頭に出版された『Modern Japan’s Place in World History (現代日本の世界史における位置)』は、211ページにわたる野心的なエッセイ集である。この書籍は、山内正之と細谷雄一が編集を手掛け、日本の明治維新から令和の時代に至るまでの歩みを追い、日本がどのようにして世界の舞台で役割を果たしてきたかを示すものである。

本書は、14人の著名な日本の歴史家による貢献を収めており、戦争、外交、経済、アイデンティティといった重要な接点に焦点を当て、実証的な厳密さと哲学的な深さを兼ね備えている。

このプロジェクトは、2015年12月から2018年7月まで自民党本部で行われた一連の講義として始まった。これは、自民党設立60周年を記念するために設立された「歴史を学び未来を考えるグループ」の一環であり、政治家と学者から成るグループであった。日本語版が2019年に最初に出版され、その後英語版が2023年にリリースされた。

本書は、広く年代順に編成されており、各章は重要な歴史的転換点に結びつけられている。15章(序論と終章を含む)からなるが、小見出しは設けられていない。しかし、主要なテーマは明確である。

初めに、明治維新と西洋化を扱っており、この時期の日本の文明開化や国際的な影響の中でのアイデンティティの形成について詳述されている。

次に、帝国主義的戦争と拡張をテーマにした章では、日清戦争、日露戦争、満州事変など、日本がいかにして軍事的勝利を収め、領土野心を具現化していったのかを考察している。

続く世界大戦の章では、第一次世界大戦と第二次世界大戦がいかに日本を同盟国の枠組みや総力戦体制へと追い込んだのかを描写し、結局のところ日本が侵略者から同盟国へとどのように移行したかを探求している。

戦後の再建とアメリカによる占領に関する反省的なエッセイもあり、アメリカの監視下での経済の復興、憲法改革、帝国主義から平和主義へのパラダイム転換について評価している。これにより、アジア太平洋における新たな役割の土台が築かれたとされる。

また、日本と中国の関係や地域外交も重要なトピックであり、1970年代における外交関係の正常化や冷戦期を経て進化する日中関係について考察している。

最終章では、グローバリゼーション、脱植民地化、多国間機関における日本の役割が令和の時代にどう位置づけられているかについて論じられている。ソフトパワー、技術的影響、そしてアイデンティティの交渉についても言及されている。

本書の学術的貢献は、新しい研究と歴史的自己反省の統合によって際立っている。日本の著者たちは伝統的な西洋中心の物語に対して挑戦し、明治の近代化を単なる西洋模倣ではなく、ハイブリッドなアイデンティティの創出として再構築している。

さらに、帝国的軍事行動は国内の政治闘争や新興の汎アジア主義の観点から分析され、戦後の占領は一方的な押し付けではなく、不平等な共同エージェンシーを伴った交渉による変革として再考されている。

本書はグローバルな歴史と日本の視点を織り交ぜることで、一貫した概念的統一を達成している。日本は常に世界と切り離せない関係にあったと指摘している。

この書籍の強みは多く、世界と国内の対話に基づいている。各エッセイは日本の国内展開と国際的な力との関連を掘り下げており、日本の歴史が決して孤立していなかったことを強調する。

また、14人の専門家による著作であるため、専門的な視点を保証しており、学術的な深さが際立っている。211ページという短さでありながらも、内容は充実しており、学者や学生、一般読者にも適している。

最後に、オープンアクセスでの出版は、グローバルな学術的な関与を促進し、知的公平性に関する現在の議論において特に貴重である。

書名: 『Modern Japan’s Place in World History From Meiji to Reiwa』
編集者: 山内正之、細谷雄一
出版元: Springer Nature, 2023
ISBN-10: 9811995923
ISBN-13: 978-9811995927

この書は英語で出版されており、国際的な聴衆に到達することを望んでいる。日本の近現代史に興味を持つ専門外の非専門家にとっても、アクセスしやすいエッセイや豊富な歴史的な流れが魅力となっている。このため、本書は学術的な厳密さと広範な可読性を兼ね備えた作品である。

画像の出所:japan-forward