画像の出所:https://www.theregister.com/2025/06/16/japan_has_a_yen_for/
日本は、トランプ政権の敵対的な姿勢に驚愕するアメリカの研究者を引き寄せることを目指して、新たな国際誘致策を打ち出した。
日本政府は、エリート研究環境を整備することを目指し、約1000億円(約6億9300万ドル)のパッケージを用意し、アメリカを含む海外からの研究者を惹きつける方針を示した。
この施策は、科学予算の削減や学問の自由に対する制限を懸念している研究者を対象としている。
特に、アメリカのトランプ政権はNASAや国立科学財団の予算を削減し、多様性と平等を重視する取り組みを標的にしており、これが背景にある。
日本の経済安全保障担当大臣である木内恵二氏は、「我が国を世界で最も魅力的な研究国にするために全力を尽くす」と述べた。
この新しい政策パッケージでは、さまざまなプログラムへの資金供与が期待されており、特に東北大学が約300億円(約2億8000万ドル)を投じて、国内外から約500人の研究者を募集する計画がある。
日本のこの動きは、ヨーロッパ委員会(EC)が発表した、科学者を誘致することを目的とした取り組みを受けたものである。
ECは2025-2027年度に500万ユーロ(約5億6600万ドル)のパッケージにより、「研究者の魅力的な拠点」となることを目指している。
ECのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ヨーロッパが世界的な研究、革新、科学の自由の中心地としての地位を確立する意義を強調した。
この流れを受けて、フランス南部のエクス=アン=プロバンス大学が立ち上げた「科学のための安全な場所」プログラムも注目されている。
このプログラムは、アメリカの研究者が迫害から解放された状態で研究を続けられる環境を提供することを目指している。
イギリスも負けじと、議会の科学・技術委員会が、アメリカからの不満を持つ学者を誘致するために、科学相のパトリック・ヴァランス卿に対してより一層の努力を求める書簡を送った。
イギリスは特定の10の研究者層を引き寄せることを期待しているが、関連するスキームにはわずか5000万ポンド(約6700万ドル)の資金しか見込まれていない。
ニューカッスル・アポン・タイン・セントラルおよびウェストの国会議員であるチニエル・オンウラ氏は、政府がアメリカの科学者向けに特化した支援を行い、ビザ要件の緩和を検討するよう求めている。
すでにいくつかのヨーロッパの大学はアメリカの研究者を積極的に勧誘しており、オランダやオーストラリアも優れた外国の科学者を勧誘するための資金を設けている。
なお、日本の半導体人材を惹きつける計画は、2nmチップの製造を2030年までに目指すRapidus社への政府の巨額投資から恩恵を受ける可能性がある。