Mon. Oct 20th, 2025

金曜日の夜、サイケデリック・ファーズがボストンのMGMミュージックホールでステージに登場した際、リチャード・バトラーは「天国は私たちの心の全てだ。」という言葉を口にしました。 これはバンドの全作品を象徴するエピグラフのようなものでした。

確かに、彼らの音楽にはひねくれた一曲二曲もあり、80年代の全盛期には壊れた心をテーマにした曲もありましたが、サイケデリック・ファーズの音楽の根底には、エモにカテゴライズされるような情感がありました。もし彼らが15年後に活動していたら、彼らは新世代の音楽に位置づけられたかもしれません。

金曜日のパフォーマンスは、シンプルに過去の名曲を手慣れた感じで演奏するだけで十分でした。「The Ghost in You」や「Until She Comes」といった古典的な曲が聞けるだけで良かったはずです。しかし、2020年のアルバム「Made of Rain」からの楽曲も新たに感じることができ、「The Boy That Invented Rock & Roll」や「Wrong Train」などの曲は、過去の栄光にとらわれず、聴く価値がある仕上がりでした。

バンド自体はダイナミックで緊迫感に満ちていました。リッチ・グッドのギターは、雰囲気を醸し出しながらも、数曲の美しいソロを披露しました。「President Gas」ではアスファルトの上を滑るような演奏が聞こえ、ストーンズ風のリフが印象的な「Pretty in Pink」でも、彼は力強いストロークで観客を魅了しました。

一方、リチャード・バトラーはバンドの中心に立ち、その鼻にかかった歌声は時間に侵されることなく、彼の艶やかさは成熟を感じさせました。 彼はオープンで温かい「Heaven」で優しさを見せつつ、切ない「The Ghost in You」や皮肉めいた「President Gas」やハード・チャージな「It Goes On」など、様々な感情を表現しました。彼の歌の中の心の痛みは、この場所では心地よく感じられました。

全てが、バンドが「旧曲」としての地位を当たり前に受け入れず、作品に深く入り込み、鋭さを保つことの重要性を示していました。「Love My Way」は、何十年経っても謎めいた雰囲気を保ち続けていました。

最後には、「India」が実に素晴らしい盛り上がりを見せ、バトラーはクラベスを持ち、アマンダ・クラマーはシンセサイザーでバグパイプのような音を引き出し、ギタリストのピーター・ディステファノはギターでワイルドなソロを弾きました。この曲は、まるでサイケデリック・ファーズ自身が弾みを増していくような感覚を与えました。

オープニングアクトのゲイリー・ニューマンも、冷たい雷のように響くシンセロックを披露しました。「Haunted」や「My Name Is Ruin」といった音楽は、まるでナイン・インチ・ネイルズのような暗いグラインド感を持ち、彼自身の人間性をロボティックなノイズの中で主張していました。

画像の出所:bostonglobe