スウェーデン・ストックホルムで、ノーベル化学賞が日本の科学者北川進氏と2人の研究者に授与されることが発表されました。
今回の受賞は、天然ガスなどのガスを貯蔵し放出することができるポーラス材料の開発によるものです。
北川氏は74歳で、京都大学の有名教授として知られています。本賞を受けたのは、31人目の日本人受賞者であり、先に物理学賞を受けた大阪大学の坂口志文教授に続く形です。
今回の受賞は、金属イオンと有機分子からなるネットワーク、「金属有機フレームワーク」に関する研究が評価された結果です。
この研究により、ガスを捕集し放出することができる柔軟な構造が予測されました。
北川氏の共同受賞者は、オーストラリアのメルボルン大学教授リチャード・ロブソン氏およびアメリカのカリフォルニア大学バークレー校教授オマル・ヤギ氏です。
1989年にロブソン氏が発見した整然とした広大な結晶をもとに、北川氏とヤギ氏が1992年から2003年の間に、この脆い材料を改良し、より安定し、柔軟性を持たせることに成功しました。
受賞の発表後、北川氏は記者会見で「大変名誉なことで、心から感動しています」と語り、3人のチームワークが成果につながったと述べました。
ノーベル化学委員会のヘイナー・リンケ委員長も、「金属有機フレームワークには、未曾有の可能性があり、カスタムメイドの新しい機能を持った材料が開発される機会が提供されます」とのコメントを寄せました。
北川氏は研究における多くの「限りない困難」があると認識しつつも、成功の鍵は「好奇心を持ち続け、挑戦し続けることだ」と強調しています。
1979年に京都大学で博士号を取得した後、北川氏は近畿大学や東京都立大学で教鞭を執り、その後母校の教授に就任しました。
彼の教え子の一人、大阪大学の正岡重幸教授(48歳)は、北川氏の研究室での5年間を振り返り、「学生を動機付けるのが上手でした」と評価しました。
正岡氏は、北川氏の研究を楽しむ姿勢に感化され、「今でも教授の言葉を思い出し、困難な時に何をすべきかを考えます」と述べています。
北川氏は、国内外でいくつかの賞を受けており、日本政府からは紫綬褒章も受けています。
日本の岸田文雄首相は、北川氏の「独創的なアイデアによる真実の発見」を称賛し、今回の受賞が国民に大いに勇気を与えることを期待しています。
北川氏は、化学賞の日本人受賞者として9人目で、その前に受賞した吉野彰氏以来6年ぶりの快挙です。
吉野氏と北川氏は、共に京都大学の同じ研究系譜に属し、その流れは日本初のノーベル化学賞受賞者である福井謙一氏にまで遡ります。
今回のノーベル賞受賞者たちは、1100万スウェーデンクローナ(約117万ドル)を等しく分配することになります。
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