ドナルド・トランプ大統領が9月23日、80周年の国連総会での演説を行う際、集まった国連の高官たちは彼を迎えるために13秒間の拍手を送り、彼が演説を終えた後には20秒間拍手が続いた。
しかし、トランプ大統領は他のスピーカーと同様に15分の制限を超え、57分にわたる長大な演説を行った。
その中で、彼は米国の過去の政権の短所について語り、国連の移民政策が世界を破壊していると主張し、気候変動を「詐欺」と呼び、各国の指導者たちに「あなたたちの国は地獄に向かっている」と警告した。
トランプ大統領は、米国を「世界のどこよりも熱い国」にしたと自賛し、アメリカの南部国境での「巨大な侵入」を防いだことや、7つの戦争を終わらせたと繰り返し主張し、自らノーベル平和賞を受けるべきだと述べた。
彼はまた、国連に対して厳しい批判を展開し、その潜在能力についての言及はあったものの、現在その潜在能力には到底及んでいないと指摘した。
「国連は、戦争を解決するための効果的な手段として機能していない」彼はそう述べて、米国のリーダーシップと友好を築く手を差し伸べ、単独での関係構築が必要だと訴えた。
国連が設立されてから80年が経つ今、国連は深刻な予算危機に直面している。
現在、加盟国からの24億ドルの未払いの債務があり、全体の予算は35億ドルに設定されているが、最も多くの債務を抱えているのは米国で、約15億ドルに上る。
トランプ政権は、国連平和維持活動に対して全く予算を確保せず、二者間の協力関係を重視する姿勢を明らかにしている。
彼はまた、ガザ地区での戦争を止め、平和を交渉する必要性についても言及したが、国連の役割にはあまり触れなかった。
トランプ大統領は、パレスチナ州の一方的承認を行った国々を批判し、ウクライナ問題については、欧州諸国がロシアのエネルギー製品の購入を中止しないことに言及をした。
しかし、彼の国連や多国籍主義への批判は強く、特に移民問題においては、「あなたたちの国が台無しにされている」と非難し、「国連が西側諸国とその境界に対する攻撃を資金提供している」と主張した。
さらに、ロンドンについても無根拠な主張を展開し、「彼らは今、シャリア法に移行しようとしている」と述べた。
トランプ氏のこうした言動は、移民に対する反感を抱く動きが強まる懸念を生む。
加えて、彼の気候変動に対する見解は注目に値する。気候科学と人為的な地球温暖化理論を「世界で最も壮大な詐欺」と批判しつつも、国連そのものにはあまり矢を向けず、代わりに中国へ攻撃の矛先を向けた。
これらの発言から、トランプ大統領の考えが多国籍主義の後退や国連の機能不全を助長する危険性が見て取れる。
彼の演説は、国連の役割を軽視するだけでなく、他国のリーダーたちに似たような議題を推進させる後押しをする可能性が高いと懸念されている。
米大統領のこのような多国籍主義への軽視は、他の国々にも影響を及ぼす可能性がある。予算の優先度が再調整され、国連の資金がさらに削減される状況を引き起こすかもしれず、それにより国連体制はますます圧力を受ける事態となる。
画像の出所:theconversation