日本では出生率の低下と高齢者人口の増加が深刻な社会問題となっており、さまざまな分野に影響を及ぼしています。
高齢者が自身の生活を支えるために働く年齢が延びており、地方の町が若者によって放棄され、消滅の危機に直面しています。
世界経済フォーラムによると、2050年までに日本の人口のおよそ40%が65歳以上になると予測されています。
この驚異的な統計に伴い、看護と高齢者ケアに対する需要が高まっています。
厚生労働省の調査によると、2040年までに約272万人の介護者が必要とされ、現在の数より約60万人の増加が見込まれています。
しかし、この膨大なギャップを埋めるための応募者は非常に少なく、この状況は今後さらに悪化する見込みです。
そんな中、福祉施設の一部は、意外にも「肉体派介護」という新しい試みを始めています。
この「肉体派介護」とは、ビジョナリー社が展開する取り組みで、若くて強い人々に介護職に就くことを促すためのものです。
ビジョナリー社の社長、丹羽裕介氏は次のように述べています。「肉体派介護が始まる前、求人を出しても全く応募がありませんでした。」
同社は全国に29の介護施設を運営しており、そのうち4分の1は24歳以下の若いスタッフです。
肉体派介護のプログラムは、30人以上のボディビルダー介護者を雇用しています。
介護は物理的な強さを必要とすることが多く、スタッフが十分なトレーニングを受けていない場合、自分自身を傷めるリスクがあります。
肉体派介護者は、患者の移動をスムーズで安全に行うための力を提供します。
元海上自衛隊員であり、全国アマチュアボディビル大会の優勝者である服部達美氏は、次のように話しています。「私が楽しんでやっている筋トレが、社会に貢献できるとは素晴らしいと思いました。」
介護職を終えた後も、服部氏はジムに向かいます。
肉体派介護者は、トレーニングのための時間が最大2時間まで給与に含まれており、体型を維持するインセンティブとして、パフォーマンスに基づいてボーナスのチャンスもあります。
もう一人の介護者、宮崎康弘氏は、入社前は介護業界の印象が非常に否定的で、辛く低賃金の労働だと考えていたと話します。
しかし、筋トレのスキルを使って患者を支えることができると知ったことで、彼のキャリア選択が大きく変わりました。
宮崎氏は在宅介護を行い、入浴、着替え、食事の準備など、患者が必要とする様々なサポートを提供しています。
彼は元々トレーナーを目指して職業学校に通っていましたが、現在はその技術を駆使して患者の筋力トレーニングを行っています。
介護業務だけでなく、宮崎氏はビジョナリーの企業フィットネスチーム「7Seas」の中心メンバーでもあります。
彼の仲間には、丹羽涼弥、臼井拓也、服部達美、寿見拓也などがいて、肉体派介護の概念の広報活動やボディビル大会への参加を行っています。
宮崎氏は、日本ボディビル・フィットネス連盟の大会を制覇することを目指しています。
それを達成した後、次は世界大会への進出を目指し、患者のために自分自身をより強くし続けることを目標としています。
肉体派介護者は、身体的サポートだけでなく、精神的な支援も提供しています。
宮崎氏は患者に明るく挨拶し、会話を通じて心を開くよう促します。
「夏祭りや花火大会に行ったときなど、私の話を通じて季節の雰囲気を伝えることもあります。
外出が難しい方もいるので、私の話を聞くことで、自分で体験したかのように感じてくれることがあります。」と彼は説明します。
ビジョナリー社の肉体派介護者たちは、健康的なライフスタイルを促進する特別イベントやプレゼンテーションを通じて、介護施設に元気を与えています。
今年のバレンタインデーには、愛知県の介護センターを訪れ、チョコレートを配布し、入所者を楽しませました。
肉体派介護者たちは、エクササイズのルーチンをリードし、患者と写真を撮影するなど、患者たちを笑顔にする活動を行っています。
このような活動は、患者に大きな笑顔をもたらし、介護施設の活気を生み出し、介護業界に対するスティグマや不安を取り払います。
肉体派介護のプログラムは、介護を新しい形で活性化し、若者が憧れる尊い職業として認知されることを目指しています。
画像の出所:tokyoweekender