ワシントン – 日本の首相が初めてNATOサミットに参加したのは2022年のことであり、その後、3年連続で最高レベルの代表がこのイベントに出席している。
ロシアのウクライナへの本格的な侵攻は、東京の出席決定の重要な要因とされている。
2025年にハーグで開催されるサミットでは、首相の石破茂が参加することが期待されていたが、その参加は突然キャンセルされた。
代わりに、外務大臣の岩屋毅が出席することとなった。
首相の出席見送りは、ヨーロッパとの関係を強化するための重要な機会を逸する結果となった。
特に日本の戦略的思考がますますこの地域に向かいつつある中での出来事だ。
石破の不在は、中国の台頭が増す中で、より予測不可能なアメリカとの関係を管理する日本にとって敏感な時期に現れた。
過去の米国政権は、NATOとインド太平洋の4カ国(IP4)パートナー間の横断的な協力を促進するために多大な外交的・政治的資本を投入してきた。
しかし、現在のトランプ政権は、このような努力を進めることに対して関心が薄れている。
実際、ドナルド・トランプ大統領は、ハーグでのサミット中にNATOとIP4パートナー間の会合に出席しないと発表した。
この決定は、3つのIP4国がリーダーの出席をキャンセルするきっかけとなった可能性が高い。
トランプ氏の防衛費分担を巡る狭い取引主義の強調は、過去3年間に築かれた横断的な協力の勢いを失わせる結果となった。
このような流れの中、石破がサミット参加を見合わせたことは、経済や防衛費に関する問題でトランプと対立を避けたいという東京の意向を反映している。
これらのトピックは、日本政府の厳しい支持率や、7月に控えた参議院選挙を考慮すると特にセンシティブである。
石破の不在は、ますます予測不可能な環境において戦略的柔軟性を保つ努力を反映しているかもしれないが、そのことは東京が欧州のNATOパートナーとの防衛産業の関係を進める上での進展を妨げるリスクを伴っている。
地政学的競争が激化する中、防衛技術の革新と堅固な防衛産業基盤は必要不可欠な戦略的資産となっている。
しかし、日本は伝統的にこの分野で遅れを取っている。
防衛産業に対する長年の制約と、アメリカからの調達に依存していることがその要因である。
しかし、潮流は変わろうとしている。
東京は2022年の戦略文書で、防衛生産と技術基盤の強化を国家の優先事項に位置づけている。
2023年以降、日本は輸出管理を緩和し、国内で生産された防衛装備、包括的な兵器のライセンス輸出を認めて、規模の経済と海外市場へのアクセスを通じて競争力を高めようとしている。
同時に、東京は防衛調達や開発のパートナーシップをアメリカ以外に多様化しつつある。
アメリカへの依存度が高まる中で、EUが日本の外交及び防衛政策における重要性が増している。
欧州との安全保障協力が拡大しており、これは部門間や多国間で行われている。
NATO IP4や、グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)などのメカニズムを通じて、日本は複数の欧州諸国との安全保障協力を深めている。
GCAPは、日・英・伊の共同開発による第6世代戦闘機プロジェクトであり、三国の政府、軍、産業間の多層的な協力は安全保障関係を強固にすることが期待されている。
日本のアメリカへの防衛協力と調達における依存は、長年日本の公式や防衛企業の不満の原因となってきた。
2024年7月にインタビューを受けた防衛専門家によれば、東京は1980年代に行われたF-2戦闘機の共同開発の「痛みの記憶」を保持しており、これは日本の認識に影響を与え続けている。
アメリカが機密技術情報の共有に制限を設けていること、また調達したシステムの自由な改変がアメリカの承認なしにはできないことが、F-2プログラムやF-35の調達を複雑にしている。
日本の防衛産業政策に関する専門家も2024年7月のインタビューで、米国の外軍販売制度が本質的に「非対称」であると述べている。
「日本政府は必要で価値のある技術情報を取得することができない」と指摘する。
この技術的自由の欠如は、日本の防衛自律性に対する根本的な課題を引き起こしている。
これらの懸念に反応し、日本は防衛産業の協力関係を多様化させつつある。
GCAPを超えて、英国と共同で空対空ミサイル(JNAAM)や、汎用無線周波数センサー技術(JAGUAR)に関して協力している他、フランスとの地雷対策や、フランス・ドイツとの三国間でのレールガン技術の合作を行っている。
この傾向を反映して、フィナンシャル・タイムズは、2025年の日本における防衛と安全保障の国際展示会(DSEI)への欧州防衛企業の出展が著しく増加していると報じた。
さらに、2024年11月には日本とEUが「日EU安全保障防衛パートナーシップ」を発表し、海洋安全保障、宇宙、サイバーセキュリティ、ハイブリッド脅威に関する具体的な協力イニシアチブを示している。
これらの努力は、トランプ氏がホワイトハウスに戻ってきたことによるものであり、その取引主義的アプローチはすべての同盟国に新たな不確実性をもたらす。
これらのイニシアチブがアメリカからの移行を示すものではないが、欧州のパートナーの重要性が増していることを示すものである。
フィナンシャル・タイムズによれば、東京は米国から防衛支出を3.5%に引き上げるように突如求められた後、ワシントンで予定されていた毎年の「二プラス二」安全保障対話をキャンセルした。
このキャンセルが米国からの最新の要求に起因したのか、単なるスケジュールの都合であったのかは不明だが、両国の間には厳しい会談が待っていることは確かである。
技術的自由の欠如とアメリカへの防衛技術への過度の依存は、日本を同盟の「囚人」にするリスクを孕んでいる。
アメリカの大統領は、取引交渉の道具として武器体系の購入を推奨することに対し、ほとんどのためらいを見せていない。
トランプ氏が新しいF-47を日本に対して関税交渉のカードとして提供したこともその例である。
アメリカが武器販売や安全保障保証を貿易不均衡を管理するための取引ツールとして扱う中で、日本はヨーロッパと同様に、アメリカの要求と安全保障パートナーシップの多様化を図る課題に直面している。
石破のNATOサミット出席の欠如は、短期的にはワシントンとの困難な議論を避ける手段となったが、同時に重要な時期にNATOパートナーとの関係を進展させる機会を逃す結果となった。
日本のNATOへのミッションの目標の一つは、欧州に日本及びインド太平洋の理解を深めることだ。
他のIP4リーダーの出席キャンセルに続く石破の出席見送りは、地域におけるリーダーシップの欠如を示している可能性があり、また日本の価値観を損なうことにもなりかねない。
元首相の岸田文雄が「ウクライナは今日の東アジアの明日かもしれない」としつこく繰り返していたことと対比すると、今回の欠席は特に目立つ。
2024年10月に岸田を引き継いだ石破は、関係が年々重要視されるヨーロッパをまだ訪問していない。
欧州のリーダーとの個人的な交流は、これらの戦略的パートナーシップを深めることに対する日本のコミットメントを示すものとなり得た。
これは、日本と欧州の双方が今後の不確実性を管理するにあたり、ますます貴重なジェスチャーといえる。
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